日本ホリスティック医学協会会報誌『HOLISTIC NewsLetter Vol.102』(2018)より


 

少しでも不安をやわらげるために

地震や台嵐などの予期せぬ災害に遭遇したあと、私たちは誰でも不安や恐怖を感じたり、生活のリズムが崩れて、気持ちが落ち込んだりします。このような心身の変化は、災害に限らず、とてもショックが大きい出来事に直面したときに誰にでも起こりうる反応ですが、当事者にとっては本当につらい体験です。

東日本大震災では、厚生労働省が被災された方に向けて、以下の発メッセージを発信しました。

こころの健康を守るために

<被災された方へ>
・お互いにコミュニケーションを取りましょう
・誰でも、不安や心配になりますが、多くは徐々に回復します
・眠れなくても、横になるだけで休めます
・つらい気持ちは「治す」というより「支え合う」ことが大切です
・無理しないで、身近な人や専門家に相談しましょう

<周りの人が不安を漢字ているときには>
・側に寄り添うなど、安心感を与えましょう
・目を見て、普段よりゆっくりと話しましょう
・短い言葉で、はっきり伝えましょう
・つらい体験を無理に聞き出さないようにしましょう
・「こころ」にこだわらず、困っていることの相談に乗りましょう

<特に子どもについては、ご家族や周囲の大人の皆様はこのようなことに気を付けましょう>
・できるだけ子どもを一人にせず、安心感・安全感を与えましょう

・抱っこや痛いところをさするなど、スキンシップを増やしましょう
・赤ちゃん返り・依存・わがままなどが現れます。受け止めてあげましょう。
(厚生労働省WEBサイトより)

 

大きな災害に遭遇した時は、心身に様々な影響が出るといわれていますが、少しでも不安をやわらげたい時は、薬に限らず、様々なセルフケアや代替療法も選択肢に入れておくと役に立つと思います。
気持ちが落ち着かない時、まず、いつでもどこでも手軽にできるのが「呼吸法」です。帯津良一先生も気功や太極拳をベースに呼吸の大切さを説いていますが、、その基本は、「深く長く息を吐き、鼻から吸う腹式呼吸をすること」。今ここを意識しながら深い呼吸を繰り返すと、全身の緊張が解かれ、副交感神経の働きが高まり不安や不調が解消されていくといいます。
アロマテラピーやハーブ療法、ヨーガ、音楽、瞑想なども、リラクセーションを促進することで知られています。
ほかにも、鍼灸、マッサージ、ボディワーク、タッチングケアなどを受けるとストレスや痛みがやわらいで気持ちが楽になりますし、心理療法や話を聞いてもらうことが、何よりも助けになるという方もいると思います。(心的外傷後のストレス症状が長引くときは、専門機関の診断と治療を受けることも大切です)。つらい時は一人で抱え込まず、周りとコミュニケーションをしながら、自分が心地よく感じられるケアを取り入れてみてはいかがでしょうか。

 

<補完代替療法の選び方>

情報は、できるだけ医師や代替療法家などの専門家から得るようにしたいものです。しかし、身近にいなかったり、関心のある代替療法について、その専門家が知識を持っていない場合もあります。そのようなときには、口コミ情報が有効になります。多くの場合は、インターネットやマスメディアの情報よりも、実際にその代替療法を体験し、また効果を実感している人から得る情報の方が信頼のおけるものになります。費用や治療・施術にかかる時間、場所の雰囲気などを聞くことができ、具体的に様子を尋ねることが可能です。
とはいえ、万人に有効な代替療法はありません。代替療法との相性もあります。相手が医師の場合も同じです。また経験する側も、病状やそれに対する受け止め方も違えば、社会的な背景、価値観、人生観も違います。その人にとって効果が実感できたり、いい体験であっても、別の人が同じように体験できるとは限らないのです。
以上のようなことから、口コミは参考になる情報ではありますが、実際に自ら体験して結論を出すようにしたいものです。また勧める側もそのことを認識し、決して押し付けにならないよう十分注意する必要があります。