自然治癒力を高める生活習慣
誰にでも備わっている「自然治癒力」を最大に発揮させるには、毎日の食事や運動、睡眠や生活リズム、家庭や職場の人間関係、そして人生観まで含めて総合的に見直し、マイナス要因をプラスに転化することが必要です。
<自然治癒力を高めるための10カ条>
●生命力を高める食習慣に変える
主食は穀物、副食は野菜や海藻、魚介類、発酵食品など。それに味噌汁。
このような伝統食こそ、私たち日本人の生命力を高めてくれる食べ物です。今は世界的にも評価されています。
穀物菜食を中心とする日本食は、きれいな血液の基となり、腸内環境を整え、免疫力を強化します。
できるだけ「動物性のものよりも植物性のもの、豊かな土壌や自然農法で作られたもの、未精製・無添加のもの、地元で取れたもの、旬のもの」を、おいしく、感謝の心を忘れずに、よく噛みしめて食べるようにしましょう。
●姿勢を調える
「背骨の歪みは万病のもとになる」といわれるほど、神経や筋肉にマイナスの影響をおよぼします。神経が圧迫されて脳脊髄液や血の流れを悪くし、ホメオスタシスを乱して、心身の不調を招く原因になるのです。
日ごろから、背骨の歪みを調整するバランス運動やストレッチなどを心がけ、骨盤に負担雄少ない座り方をしたり、足に負担がかかる靴を避けるなど、意識して姿勢を調えるようにしましょう。
●呼吸を調える
喉には扁桃腺などのリンパ組織があり、免疫システムのなかでも重要な役割を果たしています。鼻から吸引した場合、病原菌の多く(50~80%)は鼻の粘膜に吸着され、処理されますが、今の日本人の多くは口呼吸になっていて、それが免疫を下げる原因になっています。
また、ストレスが多い人は、ゆっくり呼吸で自律神経を安定化させることも大切です。
鼻呼吸を基本とし、休息時には腹式呼吸や深呼吸など、吐く息に注意を向けてゆっくりと呼吸をするようにしましょう。体の中の老廃物や毒素は、吐く息からも排出され、おまけに全身の筋肉も緩みます。
●心を落ち着かせる
一説には病気全体の約80%が交感神経優位が原因といわれています。過度の緊張やストレスを溜めすぎて、交感神経優位になりすぎないよう、自分なりにリラックスできる時間や空間をもつことも大切です。
日々の生活の中で、おしゃべりしたり、歌ったり、音楽を聴いたり。あるいは、ゆったりとした入浴などもストレスの発散につながります。
また、動物好きの人なら、同伴動物と一緒に生活をともにすることで、心が癒され生きる意欲もわいてくることでしょう。
お気に入りの映画やドラマなどを見て共感したり、笑ったり泣いたりして感情を発散するのも効果的です。
●適度な運動と快眠をとる
日中の適度な運動は快眠を誘います。ウォーキングやストレッチなど軽めの運動を継続することで、全身の血液やリンパの流れを良くし、疲労の回復を早め、治癒力を高めましょう。
そして、自律神経のバランスをはかるうえでとても大事なのが快眠です。快い寝具やアロマテラピーなどを活用してみるのも効果的です。
すぐに眠れなくても、体を横にして休めているだけで免疫力は高まるといわれていますので、体を温めて休むことがポイントです。
ただし、休養にはじっと体を休める「消極的休養」と、普段と違うことをして気分転換をはかる「積極的休養」があります。毎日のデスクワークやパソコンを使用するような場合、たくさん体を動かしているわけではないので、休日にゴロゴロ寝てばかりではよけい体がだるくなることも……。そのような人は、できるだけ体を動かしてリフレッシュするようにしましょう。
●快い「場」での交流を大切にする
私たち一人ひとりの生命場は、皮膚の内側と外側、そして、呼吸を通じて外界の場とつねに交流しています。
外界の場が、ストレスを高めるような場か、あるいは開放してくれるような場であるかによって、体内の生命場が弱くなったり高くなったりします。
ですから、自分にとって快い外界との接触・交流を図ることが自然治癒力を高めることにつながります。
好きな動物や植物、気の合う友人、趣味の仲間、NPOなどの活動グループ、癒しのスポットなど、自分に合った癒しの場を見つけておき、折にふれて心の充電をはかりましょう。
いろいろな人とつながりをもち、お互いに触発しあえる関係が、癒しと自己成長のための原動力になります。
●喫煙・多量飲酒を控える
自然治癒力を阻害する要因は、人によっても多少異なりますが、一般的にみれば喫煙や多量飲酒はやはり問題があります。
とくに喫煙は、自分にとってはストレス解消になっても、周囲の人にとっては大変迷惑になるので十分気をつけましょう。喫煙、高血圧や糖尿病など生活習慣病の危険因子をもつ人にとっては、飲酒量のコントロールはとくに重要です。
したがって、できれば他の健康的なストレス解消法に切り替えるか、ほどよい飲酒習慣を身につけることが大事です。
●薬・抗生物質を乱用しない
抗生物質を多用すると、かえってリンパ球が減少して免疫力が低下します。免疫が弱まると、ウィルスやバクテリアなどが体内に侵入しやすくなるため、より強力な抗生物質の使用に頼ってしまうという悪循環が生じます。
また、東洋医学的に考えると、薬の服用に頼ることは、自然治癒力を抑えて、症状の根本原因を体の中に閉じ込めてしまうことになります。
ですから、自然治癒力を高めることによって症状を緩和するためには、薬や抗生物質の連続、または長期服用は避け、漢方薬やメディカルハーブなどを活用するのが望ましいといえます。
●自分にあった代替療法を活用する
何かしら心身の不調や疾患がある場合は、対症療法的な西洋医学だけに頼るのではなく、自分にあった代替療法で補完することも大事です。それが呼び水になって、自然治癒力を引き出すことができるからです。
最近は代替療法の体験者の数も増え、情報も多くなってきているので、それらを参考にしながら、「これは」と思う治療家に相談したり、取り入れてみたりするのもよいでしょう。
また、免疫力が落ちたりストレスが溜まっていると、体内に活性酸素が増えて体調不良や老化が促進されます。
これには、免疫機能を強化・調整する天然抽出成分、腸内活性成分やデトックス成分を含んだものがおすすめです。
●自分が納得できる人生観をもつこと
どのような状態に置かれても、希望を持ち続けるか、絶望的になるかは、その人の人生観や死生観に起因します。医師や家族などの周囲の人は、患者さんをサポートすることはできるものの、ストレスをどう受けとめるかは、あくまでも本人しだいなのです。
普段から、自分自身が心から納得できる生き方や治療法、QOLとして望むこと、死に方などについて、しっかりと考えておくことが大事です。
『自然治癒力を高める生き方』
帯津良一監修/NPO法人日本ホリスティック医学協会(編著)(コスモトゥーワン/2006)より